2017年04月02日

Moonlight

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Director:

Barry Jenkins

繊細で独特の美しさがある。珍しいタイプのブラックムービーであるにちがいない。いくつかの社会問題を含んだ暗いテーマを、多くは語らず、心を表す。独特のカメラワーク、音楽使い、曖昧なカラー。月明かりと海のブルーで まろやかな光が印象に残る。そして、主人公シャイロンの瞳が。
ポスターデザインの意味がわかる。3つの時代のシャイロンの瞳。
治安の悪い地区、複雑な家庭環境で育った、口数の少ない、何にも抵抗しない、内気な少年シャイロン。守るべき母親が問題を抱え、どこにも行き場のない彼に手を差しのべてくれた男フアンに教えられたこと。孤独なシャイロンが海で見た景色。唯一友人として接してくれる幼馴染みのケヴィン、彼への想い。
理由はわからないが、違法な行いには危険が伴うもの、フアンの死がなければシャイロンは違う生き方をしたかもしれない
ずっと耐えてきた、そして深く傷ついたシャイロンが初めて怒りを表した後 、彼は大きく変貌を遂げる。よい子のたどる道は悲しい、フアンと同じヤクの売人に。それがシャイロンの生きる道だった。ケヴィンにはケヴィンの生き方があり、置かれた環境、各々の人生皮肉なものだ。
しかし、外見やボジションが変わっても、うつむきがちの瞳と口数の少なさ、端々に見せる彼の優しさは、子どもの頃から変わらないシャイロンだった。
母を許し、特別な友人を許して、シャイロンは、ケヴィンの肩で、自分が自分でいられる場所を求めているように見えたエンディング
海辺で自由に駆け回る黒人の子どもたち。
彼の好きな海でひとり月明かりに照らされる、少年の姿のシャイロン。神秘的な映像美だ。
フアンが少年時代のシャイロンに話した、昔 月明かりの海辺でブルーに見えるからブルーと呼ばれたという話、これは大きな意味を持つ。人種、いろんな社会的差別など何も関係ない、それを超えた自分の姿、他人に左右されず自分の道を生きること。月明かりの海に心が洗われるよう。
苦しい中に、印象的な優しいシーンが他にもいろいろある。
どうしようもない母親を嫌いだと言いつつも、ソファーで寝ている母にブランケットをかけてやるシャイロン。シャイロンにとってのフアンとテレサ。母の言葉に涙を流し、優しく母の肩を抱くシャイロン。殴られながら何度も起き上がって戸惑うケヴィンに面と向かうシャイロンは、痛々しくも彼の複雑な想いを感じる。イカつい男がケヴィンとの再会の前に身だしなみを整える姿は微笑ましい。
助演男優賞のマハーシャラ・アリという人は、前半のシーンだけで受賞したわけだ。初めは彼が主役のようにも感じられた。
そして、最近のマニーペニーなどの印象から初めて見るタイプのナオミ・ハリス。母と息子、もう一歩掘り下げたなら、彼女も助演女優賞だっただろう。この映画のテーマは母と息子だけではない。
Moonlight が作品賞をとってよかったかと。比較はしづらいが、注目度高く華やかなエンターテイメント映画の La La Land とは違い、秘めたパワーを持つ Moonlight 。
ラベル:映画 M
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2017年04月01日

Jackie  「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」

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Director:

Pablo Larraín

ナタリー・ポートマンの ひとり劇。ストーリーは、インタビューに答えるジャッキーの話の中で、回想録のように、彼女視点で、事件前後と事件当日をいったりきたりして描かれる。その手法は、事実を描く中にドラマティックさを、また、不協和音で始まるバックミュージックにはブラックスワンが頭をよぎるような、心理面で鬼気迫る事態を感じさせる。その中で、ファーストレディーとして、母として、妻としてのジャッキーの姿、彼女の立場上受けるプレッシャー、信念と強さ、噛みしめる苦しさ、心の内がじわじわと伝わってくる。
ラベル:映画 J
posted by JUNE at 15:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする