2017年06月11日

◇番外編◇ Short Film Fes. Academy Awards Program

他とはクオリティーが違う、格段に良い、ショートフィルムのアカデミー賞プログラム。

Ennemis intérieurs.jpgvol.1 Ennemis intérieurs 「同胞の敵」 (2016 France)
世界でテロのニュースが飛び交う現在を反映した社会的問題作。敏感なはずの先進国の1つ、フランスの作品。ときどき不穏な雰囲気の映像を交えるが、尋問を受けるアルジェリアの男はテロに関わってはないように観える。家族や同僚の前で犯人扱いを受け、無実の罪で逮捕歴あり、心を癒される友人たちと一緒にいたかっただけ、それで集会に通ったのは本当ではないかと。その集会メンバーにはフランス警察が情報を欲しがる要注意人物が含まれている可能性はある。息子の安全のため、彼は最後には集会メンバーの名前を告白する。さて、最後まで結末をはっきりさせるわけではない。この男は実はテロに関与しているのかもしれないし、もしかすると、彼が通っていた集会自体 テロとは何の関係もないかもしれない。敢えて明かさず、考えさせる。宗教、人種の尊厳と役人。何を信じればよいか。大事なものは何か。重みのある作品。

La femme et le TGV.jpgvol.2 La femme et le TGV 「彼女とTGV」 (2016 Swizerland)
現在のジェーン・バーキン主演という注目。彼女のチャーミングさ。チャーミングなストーリーは、少々寂しい方向へ向かうが、最後は温かい。それまで見えていなかった協力者が近くにいて、昔と変わってしまった街の人の動きがまた戻った。歳をとっても自分の人生を前向きに生きる気づき。ポップなつくりの この作品。なんといっても 美しい背景。舞台はスイス。彼女の住むカラフルでコンパクトな木造りの家、草原の風景、田舎の街並とオールドスタイルの こじんまりした店。実写の美しさが本当に素晴らしい。素朴なストーリーが しかもショートフィルムにして、ドラマあり、ほんのり心に残る1本の作品に。

Borrowed Time.jpgvol.3 Borrowed Time 「与えられた時間」 (2015 USA)
デジタルアニメーション。アニメーションの好きずきはあるが、アニメーションにして これだけ表情と感情を表現できるとは、さすがアカデミー枠。少年時代と現在の主人公が同一人物であることも これだけセリフが少なくてもわかる。崖、老いた痩せている男がひとり たたずむ。彼は悲しげで、思い出している。父のこと。子どもの頃の自分の過ちを 彼は今もずっと悔いている。死にきれなかった、過去から止まったままの“時間”を見つけたから。夕日が美しい。しみじみと虚しく心に残る1本。


Sing.jpgvol.4 Mindenki “Sing” 「合唱」 (2015 Hungary)
締めにふさわしい作品。学校というと、シリアスな映画で取り上げられるのは いじめの問題が多い。しかし、ここでは、小学生が団結して行動を起こす、ささやかながら温かいストーリー。小学校の合唱団を通して、友情と、不公平な先生に抗議するために立ち上がる小学生の姿が描かれる。主人公ジョフィー役の女の子が この年齢にして魅力的。転入生のジョフィーに仲良く接するクラスの女の子、好きだった美人の歌の先生の不公平なやり方に幻滅した彼女は 正義感のある行動に出る。コンクール本番のボイコットに乗ったのが合唱団の生徒全員であることは 子どものたちの澄んだ心の表れ。これには、大人のエゴにより 純粋な子どもの心を傷つける教師に対して、小気味よく感じる。~吹き替えにしても~少女の美しい独唱と、その後は合唱団の本来の姿、全員で合唱するエンディングは圧巻。静かな作品ながら、リズムに乗せたようなテンポ感あり、美しさあり、それをショートフィルムで表現し切る、逸品。
posted by JUNE at 21:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする