2018年03月10日

The Killing of a Sacred Deer  「聖なる鹿殺し」

The Killing of a Sacred Deer.jpg2017  

Director:

Yorgos Lanthimos

イカれた話だ。同じくコリン・ファレル主演の前作、「ロブスター」が もう はちゃめちゃなストーリーで。今回は また違うが、この映画を何と言おう、説明のつく話ではなく、現実離れしているようで、心理的な描写を理解。
裕福で仲のよい家族の穏やかな生活が だんだん乱れ、追いつめられ、理性を失っていく、1人の少年との関わりによって。
バックミュージックなしのシーンと、なんでもないシーンで不快な音が響く不吉さ。
なんでもないようなセリフが どこかおかしい。含みを持った言葉や、不自然な会話。
キーとなるクセ者の少年役、彼は「ダンケルク」から見かけるようになったが、ここで発揮された彼の才能がすごい。顔立ち、表情といい、しゃべり方といい、この雰囲気、絶妙の不気味さ。
ラベル:映画 K
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2018年03月09日

Happy End

Happy End.jpg2017  

Director:

Michael Haneke

ため息が出る。この進行具合のまま、ここで終了する、後味の悪さ。
ミヒャエル・ハネケ監督だもの、タイトルが いわゆるハッピーエンディングを意味するはずもない。ハッピーな最期だ。
ハネケフィルムの中では 軽いタッチで 穏やかな傾向の作品に違いないが、見たくないような人間の毒を 皮肉に残酷に出してくる。
澄んだ青空と青い海を背景に、テーブルを囲む、身なりの整った家族の画。表向きにはよい家族、しかし、各々の秘密の裏の顔が見え隠れ。本音が表れる、スマホ、SNS、ネットのチャットと 現代的なツールに 本当の自分が生きている。
カメラが部屋の一部に設置されたまま、登場人物を追わないような撮り方や、ストーリー展開中に 意図的に遠くてセリフが聞こえない状態にする、独特なカメラワーク。
「愛、アムール」の続編説。ハネケファンではないのと、雰囲気が違うだけに気づかなかったが、自分で気づいたなら おもしろい。
ラベル:映画
posted by JUNE at 14:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

Downsizing  「ダウンサイズ」

Downsizing.jpg2017  

Director:

Alexander Payne

この映画は、ユニークな発想の ハートウォーミングコメディーに違いないと、誰もが先入観を持つはず。
予告編の印象、実際に 本編の序盤は コミカルな要素ありの ダウンサイジングについての前置きで、クリステン・ウィグなのだから コメディー、または、ベン・スティラーの「Life !(The Secret Life of Walter Mitty)」のように、コミカルなベン・スティラーだけど ドラマティックなテーマがあるといったような映画だろうと。
ところが、予想外。
序盤のユニークな試みの軽快さが どんどんしんみりして。なぜなら、主人公ポールは ダウンサイジングした直後から不幸になったのだから。
離婚した上、それっきりなんて、納得いかない。妻の土壇場での気持ちはわかるから、でも、なんらか再会して当然、夫婦に仲わるい要素はなかったのだから。この流れなら、妻役がクリステン・ウィグである必要はないし、ダウンサイジング前に 2人には価値観が合わない点があるというエピソードをやるとか、ちゃらんぽらんで美しいだけの妻っていう設定にするとかなら、あり得るけれど。
そして、政治活動家だったベトナム人女性ノク・ラン、ポールのよき相棒となるくらいならOKだが、惹かれ合うという流れは強引だ。彼女は口が達者で なかなかよいキャラクターなのだから、それを貫いてほしい。
マット・デイモンらしく、ポールは人助けをして、自分の生きる道を模索していく、彼の生き方がこの映画の中で大きな意味を持つようになったことはわかるが。そして、彼は人生における また選択をして、終わり方も.. 不完全燃焼。これでいいんだと彼は悟っている? どうも ポールが心から幸せを見つけたようには観えない。
ミニチュアサイズの世界の 貧富の差の問題や 人類滅亡の危機に対して 解決に導くような展開もない。
そもそも、ダウンサイジング後は、普通の世界との対比を表すアイデアが極めてく少なく、ミニチュアの世界だけで展開するなら、❛ダウンサイジング❜ というテーマの意味がなくなってくる。
全体を通して、この内容なら、ヨーロッパ映画風にするとか、マット・デイモン含め キャスティングを間違っている。

いつも好印象のマット・デイモン、彼はずんぐりした体型だけれども、もちろんジェイソン・ボーンはがっしり、しかし今回は、見てしまった、明らかにお腹出ているのは、役づくり??
クリストフ・ヴァルツの役も人物像が中途半端だが、彼のクセのある悪役ばかりを観るのはもう結構だから、まあ これでいい。
ローラ・ダーンと ニール・パトリック・ハリスは、特別出演のような出方。

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ラベル:映画 d
posted by JUNE at 23:59| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月03日

Maudie  「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」

Maudie.jpg2016  

Director:

Aisling Walsh

なんだかんだいっても、彼女には彼が必要で、彼には彼女が必要なのだ。

モードの言葉には、彼女の純粋な心が込められている。
モードの持ち物には、彼女の運命が宿っている。
モードの絵には、彼女の愛があふれている。

人と少し違っても、慎ましく自由に生きる、チャーミングなモード。
無口で不器用なエヴェレット。
孤独だった2人が お互いの支えとなり、共に歩み、夫婦として強い絆で結ばれる。

モードが描いた絵でいっぱいの、彼女でいっぱいの 2人の小さな小さな家に、エヴェレットが1人で戻ったときの 空虚。彼女が彼の家に初めに来た頃とは がらりと変わった 温かく鮮やかな色とは 裏腹に。
しかし、小さな幸せの積み重ねが 2人にとって かけがえのない幸せとなったことを認識する。

サリー・ホーキンスには 何かが降りてきたようなオーラを感じ、イーサン・ホークの演技も 久々に素晴らしく観える。

小さくて大きい、美しい愛の話。
ラベル:映画 M
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2018年03月02日

The 15:17 to Paris  「15時17分、パリ行き」

The 15:17 to Paris.jpg2018  

Director:

Clint Eastwood

何が起こるか、ある程度テーマはわかっていて。それをどういう角度から、どう観せるかは つくり手にかかっている。
今回話題になっている、当事者の出演という監督のこだわり、つくりとして そこだけに頼らない、内容的に想像を超えるものだ。映画全体の ほんの数分のシーンにして。空気が張り詰める、緊迫の数分。そこに至るまでの 複雑ではない時間の交錯や、主要な登場人物の人物像を掘り下げる時間が予想外に丁寧で、それが大きな効果をもたらす。ある程度、主人公を絞ったのも、彼らの関係性を描くには十分で、間延びせず、テーマが広くぶれなくてよい。
警察でもSWATでもない普通の青年たちが、大勢の命に関わる緊急事態に、自らの危険を顧みず、頭と体を使って即座にとった行動。
入隊に志願する、その動機は人それぞれあるかもしれない、環境や宗教も関係し、日本人の感覚ではわかりづらいもの、1つ考えさせられる。
最後まで観る過程で、何を伝えたい映画なのかがわかる
また すごいものを観た。やはりクリント・イーストウッド、おそるべし。時事内容を扱いながら、わかりやすく、といっても ただ単純というわけではなく、大げさではないドラマティックな構成で魅了する、イーストウッドフィルム。
ドラマティックなつくりといっても、彼らがあの列車に乗ったことは、運命的だ、実際に。そして、人を助けるための行動、それは彼らに備わっているもので、フィクションドラマではない。すごい話だ。
似たようなタイトル、「3:10 to Yuma」って映画があったな..なんて観る前に思ったが、そんなことどうでもよくなった。

ジャンルも違えば比較してよいものかわからないが、ノンフィクションの重みと 後に観る順番の影響もあるかどうか、オスカーを意識すると、ここまでで作品賞または監督賞はコレだと思ったが、ノミネートされてない、来年発表の対象だろう。今年のノミネート作品に「ダンケルク」も入っていることだから。
ラベル:映画 15
posted by JUNE at 00:11| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする