2018年04月24日

Aus dem Nichts  「女は二度決断する」

Aus dem Nichts.jpg2017  Director: Fatih Akin

彼女が下した決断、もう失うものは何もないから、気持ちはわかる気がする。しかし本当にそれでいいのか。彼女の弁護士は信頼できる人で力になってくれる、もう一度、 もう少し頑張ってほしい。ひとりで解決しようとしてはいけない。社会的にも闘ってほしい。映画的にも なんとか展開させてほしい。社会問題を事件に絡めたのだがら。
しかし、これも映画として1つ。ダイアン・クルーガーのイメージを払拭する映画となったのも1つ。ありきたりの映画ではないといえるかもしれない。
彼女はこの映画でカンヌ主演女優賞を受賞したが、良い、でも もう一歩では?この決断であれば。と思えるのは、私の中ではやはり、ダイアン・クルーガーが彼女のイメージを払拭し切れていないかと。
そもそも、この決断の展開ならば、描き方としては足りない気がする。社会的背景の犯罪よりも 彼女の心理状態に重点を置いた流れだということはわかるが。

ダイアン・クルーガーはドイツ人なのに、ドイツ映画で観るのは珍しい。
ラベル:映画 a i
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2018年04月21日

Ready Player One

Ready Player One.jpg2018  Director: Steven Spielberg

スピルバーグフィルムって、ワクワクする。
VR時代に突入した現在を彷彿とさせる、舞台は 日常を仮想現実の世界で過ごす近未来。
というわけで、映画全体の3/4はデジタル映像。ゲーム好きな人~と一言で言っていいものかは不明~にとっては格別な映画のはず。クライマックスあたりから、VR世界とリンクする現実世界のシーンを挟む頻度が増えるため、私にとっては比較的 映画らしくとらえられる。彼らの目的はゲームをクリアすることで、言ってしまえば そこに興味がないので、この新しい映画のつくり、映像、アイデアに注目する と。
おもしろいのは..。まず、主人公がVR世界で乗っている車はデロリアンと見られる。歴代 代表的な映画の小ネタが飛び交い、キャラクターも登場。スピルバーグ絡みにとどまらず。
さて、ゲームに勝つためには、このVR世界 ‘オアシス’ の創設者ハリデーが隠した謎解きと 抵抗勢力を阻止しながらというところに展開を観せる。謎解き自体は なるほど-といったものでもないので、アドベンチャー要素を傍観。
新たな展開は、オアシス内で出会った主要メンバーが 現実世界で再会し、力を合わせること。VRでつくられたキャラクターの姿と 本来の姿とのギャップも見どころだろう。それでも 人物設定のバランスは考えてある。
実は、創設者ハリデーの本当の意図するところと、ゲームオーバーによる対価にこそ、この映画のメッセージが込められている。何でも願望が形になる理想の世界オアシスの裏で、現実世界は荒廃している。仮想現実の世界でしか生きられなくなる、現実逃避に頼る時代の到来は、近い将来 実際にあり得るから、教訓だ。
孤独な現実にただゲームが好きだったハリデー少年が大人になり、開発したものが独り歩きし、本来自分が求めていたものなのかと自問する彼が本当に亡くなっているのかどうかも 意味深なメッセージ。
主人公ウェイドは、現実社会を改善すること、そして、現実を本人と過ごす時間の大切さに気づく。
観た後にして、この映画タイトルが私は好きだ。

子ども向けというには 若干複雑な内容を含み、ゲーム感覚だから ティーンが主役の映画というのはイメージに合う。
主人公に テレンス・マリックの「The Tree of Life」で子役からの タイ・シェリダン。美形というわけではないのが 設定の役柄に合う上、彼には秘めた才能がありそうだ。
マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、ベン・メンデルソーンの変装的キャラクター~VRではなく現実の~がおもしろい。サイモン・ペッグは彼らしい出番が今回少ないが、マーク・ライランスの意外なマッチング。ベン・メンデルソーンは 本当に「Animal Kingdom」からの出演が目覚ましく、どんなジャンルの映画でも悪役主役ができるわけだ。
後半には日本のキャラクター対決シーンもあり、少し日本フィーチャーを感じる。日本人役の男の子は日本の俳優とのこと 全く知らず、本人登場シーンは多くはないが~この映画のつくりにより しかたない~、英語に全く違和感なく、主人公を取り巻く限られた主要メンバーの1人として活躍、ハリウッド映画 しかもスピルバーグフィルムに出演だなんて 本当にすごい。
なんとなくスピルバーグといえば、キー・ホイ・クァンを思い出した..。
ラベル:映画 R
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2018年04月19日

The Only Living Boy in New York  「さよなら、僕のマンハッタン」

The Only Living Boy in New York.jpg2017  Director: Marc Webb

ニューヨークの街の一部を堪能でき、音楽にもこだわりが。
ストーリーはというと、情けない、のらりくらりと小言が流れ。家庭の事情の真相は意外だけれども、小説じみていて、感動的な良い話?微妙。しかも、原作小説があるわけではないらしい。
主人公トーマスが素直で単純な性格のため、あっさり解決するものだ。それが彼の良いところだが、ヒューマンドラマの展開としてはどうだ?家庭が崩壊しても、うまくまとまったようなので、彼らがよければ それで良しと。
しかし、友達以上 恋人未満のミミが言うとおり、トーマスも他の人たちと同じ。意志が弱い。この2人の和解シーンは無し?
なんだか、感動の親子劇に持っていこうったって、過去の事情と浮気とは関係ないから、話をすり替えないでほしい。

役柄はさておき、ピアース・ブロスナンは歳をとっても なかなか素敵だ。ジェイムズ・ボンド引退後も 正統派で活躍するのはすごい。
「Sex and the City」のシンシア・ニクソンのお母さん役も なかなか良い。
ケイト・ベッキンセールは あまり歳をとらない..ように見える。
ジェフ・ブリッジスは ジェフ・ブリッジス。我が道を行く、優しい今回。
さて、主人公の彼は初めて見るが、こういう青年いそうな普通っぽさ、良い意味で。役柄かもしれないが、主役にはもう一歩 存在感が薄い。というか、脚本の問題のような気もする。
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2018年04月18日

Teströl és lélekröl  「心と体と」

Teströl és lélekröl.jpg2017  Director: Ildikó Enyedi

雪が降る森の中、雄と雌の鹿2頭、池があり、川が流れ、静寂に包まれる時間、幻想的な美しさ。
一方、現実は、居心地のよい場ではない様子だ。
主人公は感情表現しない、人と関わるのが苦手な2人、言葉少なく、動きも静か。舞台は、無機質な勤務先の食肉処理場の現場と食堂、殺風景な各々の家。悪人はいないが、ストーリーには ‘人と違う’ という毒を含む。
そして、動物。食肉処理場で解体される牛と、夢の中の鹿。対称的な状況の2種の動物だが、感情を表さない、つぶらな瞳。主人公2人も、特に女性マーリアは 全く感情を表さない目が印象的。
赤く流れる血と、片手が不自由であること、これらにも伏線がある。

‶同じ鹿の夢”、不思議な体験が 孤独な2人を引き寄せる。2人とも それぞれ彼らなりに自分を変える努力をしていくのがわかる。
しかし、すれ違いから、マーリアはそれほど思い詰めたのか、彼女の心の中は誰にも気づけない。
不思議な夢の結末は..。マーリアが初めて笑顔を見せた朝、2人に さらなる不思議な奇跡の現象が。静かで、しかし孤独ではない、確実な変化。

曖昧に、人と動物、心と体、男と女、生と死 を。
気づいてみればラブストーリー、独特なハンガリーの作品。

不釣り合いなようで、聴き入ってしまう、なかなか良い曲だ、CDショップの店員おすすめの曲。膨大な数量のCDを試聴したにもかかわらず、店員の一言でマーリアが買ったもの。
ラベル:映画 T O
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2018年04月13日

The Square  「ザ・スクエア 思いやりの聖域」

The Square.jpg2017  

Director:

Ruben Östlund

「フレンチアルプスで起きたこと」から また期待を裏切らない、ブラックユーモアのシャープな表現は 洗練されている。
現代社会に ありそうなシチュエーションばかりを突いてくる。
かと思えば、さらっとチンパンジーがペットとして家にいたり の遊び心。
大袈裟ではない日常的な出来事の選択をちょっと誤ったことから、不運に陥る、心理的に気になる。
集団の心理がところどころに描かれていて、日本人にもよくわかるもの。
明るくコミカルに展開させるから、客観的にとらえられる。
監督が言うように、ヒーローと悪者とを極端に描くのではなく、人は誰でも良い部分と悪い部分の両面を持っていることを示唆している。

例えば、美術のオープニングイベントに 猿のような男が現れるシーン、自分がこの場にいたらどうだろう、初めは笑える出し物の1つだと思って見ていても、度を超えてくると、劇中の会場客と同じように 目を合わせないようにして 体を硬直させて、自分のそばから去ってほしいと願う、自分だけは標的になりたくないし、誰か早く止めればいいのにと、~カンヌの会場でなくても~ 自分だったらと考えてしまう。これは まさにつくり手の意図するところ。

主人公クリスティアンの不運なストーリーは、初めに財布と携帯電話をスられた、全てはここから始まっている。
クリスティアンが 一見面白味がなさそうで、適役。スマートなようで 抜けていて、関わったがために 巻き込まれ、悪気はないが 責任があり、時には大きな行動に出るが 小心者、心配事や嫌悪感を解消するべく行動に出る..。人間らしく、憎めない、愛すべきキャラクター。
収まりつかず、ある意味これも後味のわるい映画...というより、最後まで皮肉ったわけだ。

展示美術のスクエアはもちろんのこと、螺旋ならぬマンションのスクエアの階段や、チアリーディングのスクエア型のコート と、現れるモチーフ。
モダンアートミュージアムを背景に、映像のシンプルさや 不思議な音のバックミュージックも 人の頭の中をSFタッチで表現しているような効果あり、絶妙。
ざっくりつくられたようなタッチで、実は 細部に つくり手のこだわりがある。登場人物の人あたりや 軽い展開と 柔らかいタッチのようで、実は 鋭い迫り方。
チンパンジーや 猿のような人が出てくるのも、一番人間に近い動物である 脳が発達する過程にある猿、人間の心理を描くために計算された演出かもしれない。
そのシーンちょっと長くない?くどくやる意味ある?とか、一方で、説明なく、ここで切る?というシーンもあるが、それらも計算されているに違いない。
映像美とともに 人間観察をユニークな映画にする、監督の才能に魅せられる、考えれば考えるほど。心に残る大作といったような話ではないのに。
ラベル:映画 s
posted by JUNE at 14:22| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする