
Director:
Andrey Zvyagintsev“映画史に残る慟哭のクライマックス”。予告編のキャッチコピーを意識して、惑わされ。
前半は、 愚かな親たちの行動、現代的な大人の姿を観続け、 後半から本題に入り、状況は一変したが、 愚かな親の姿は変わらず、捜索平行線のまま、 全体を通してかなり時間も経ったので、もう来る、震撼のラストが と。
そういうことか。そういう意味の衝撃。不快で、悲痛、 頭から離れなくなるもの。
自己中心の身勝手な両親と、愛されない哀れな子ども。
人間のエゴを通じ、リアリティーがあり、精神的な残酷さが胸に突き刺さる。
捜索中、両親が子どもの名前を呼ぶことは一度もなかった。
後半で、母親の息子に対する言葉が初めて変わった叫びのシーン、 普通なら改心し 本音が出たものだと思いたいところだが、彼女に限って それはないと思える。 少しは後悔している部分もあるかもしれないが、 この状況に限界を感じて出ただけの言葉だ。
自分のことしか愛せない親たちは、 それぞれ希望どおりに生活を変えても、同じことの繰り返し、 また不満を人のせいにするだろう、世間体だけを気にするだろう、親としての自覚はないだろう、 引っかかるものを背負ったまま、表情のない彼ら。
自分のことしか愛せない親たちは、
寒々しいロシアの天候、寂しく揺れる木の枝、
冷たい映像と 心を乱されるような不協和音が、不穏な空気と緊張感を助長している。