2018年05月01日

Call Me by Your Name  「君の名前で僕を呼んで」

Call Me By Your Name.jpg2017  Director: Luca Guadagnino

北イタリアの風景が本当に美しく、ひと夏の思い出に絶大な効果をもたらす。
一家、主人公は読書や音楽が好きで ピアノを弾く、父親は大学教授、文学・芸術が生活の中にあり、明らかに裕福な家庭で、それは、時代や場所は過去の代表作とは違えど、脚色・製作のジェイムズ・アイヴォリーの世界観を併せ持つ。
中盤までは じれったく ゆっくり時間が流れるような気がするが、なんてことない会話にも 実は意味がある。主人公エリオは、重要なことは全くしゃべらない、たわいもない会話だけ。実は、原作の大半がエリオの心の声で埋め尽くされている。彼は常にオリヴァーを観察していて、原作なしで 劇中のエリオから感じとれる数倍、オリヴァーを気になって気になってどうしようもないけれど、それを悟られない彼なりの駆け引きを繰り返し考えていて、口には出さず、行動にも出さず、遠回しに表現することも、実は。心の声を語る映画もあるが、わかりやすくても それがよいとは限らず、この映画にはふさわしくない、確実に雰囲気を壊す。だから、中盤までエリオのそれほどの気持ちが読めないのは しかたがなく、逆に、その状況で俳優が演じていることを考えると、ティモシー・シャラメが評価されるポイントになるのかもしれない。
オリヴァーのエリオに対する気持ちは唐突にも感じるが、エリオ視点の流れであることと、子どもらしいエリオに比べて オリヴァーは自制できるから。
お互いの気持ちを知ったとたんに燃え上がる2人だが。この頃からようやく エリオを気にかけるオリヴァーの表情が見え始める。
初めから期限付き、別れが迫っていることは..。
2人が一緒に自転車で下った坂道、切ない。
エリオのお父さんは 心のあるインテリだ。旅から戻ってきた息子に語りかける長いシーン、かなり重要だとみられる。とても素敵な両親だ。
きらきら輝く北イタリアの夏に心酔していたが、冬を見ることになるとは。情緒的でまた美しい。季節が移り変わり、事情も変化する。大切な人と過ごした時間の思い出が残るだけ。
映画のタイトルがなんとも美しいだけに、劇中 初めに出てくるこのセリフをもっとさりげなく使ってほしいような。同性だからこそ生まれる、優しくて深い意味を持つ言葉かな。原作とは結末の描かれ方が違うので、この言葉の印象も少し違う。原作は この言葉が頭から離れなくなるほど 大きな意味を持つように感じる。それに比べて映画は タイトルの印象が薄い代わりに、こんなエンディングをこれまで観たことはない、秀でたもの。エリオの心の声は語られないのだから。別れ~短くも 心に残る、原作にはないシーン~からここまで 口数さえ全く増えていないのに、エリオらしい彼の痛く切ない気持ちが伝わる。
微笑ましいコミカルさも交えて、全体をしんみりさせることなく、美しい思い出の印象を残すのもよい。寂しさは十分伝わったから。
手前に焦点を当て、ピンボケのバックに映るものも意味を持つ、数回ある そんなカメラのアングルも印象的。
危ういストーリーにもかかわらず、高尚な文学作品のような映画だ。

話題のティモシー・シャラメには、飄々とした、自然体の男の子の印象から、いつのまにか、純粋で、揺れ動く、彼のアンニュイな雰囲気に魅せられる。時には無邪気な子どものようであり、それ以外の時間は ひとりで考え事にふける、遠くを見つめるような瞳。ディカプリオの再来とか言われているが、それはどうだろう、タイプが違うような。悩ましさから大胆な演技までこなす、フランス人的な容姿の若者の出現 といったところで、今後に期待。
アーミー・ハマーの相手が 若く線が細いティモシー・シャラメでよかった。やはり映画だから美しさは大事。例えば、ヘンリー・カヴィルが相手だったなら、顔立ち・体つきがよいとはいえ、できあがった図体の2人ではちょっと..。
しかし、アーミー・ハマーは背が高く、ティモシー・シャラメはフランス語と英語を使いこなす。
ラベル:映画 C
posted by JUNE at 23:55| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする