プロのダンサーが演じるというのは 何より説得力があり、 観応えがある。ということは、言われている、 演技ができるダンサーでなければ。バレエシーンはもちろん、 主人公として美しく、時に周囲に歯向かい、 国家権力に反発する精神を持つ人物の目力、 子どもの頃の故郷を振り返るナイーブさ といろんなものを兼ね備えている彼。
回想のように過去のシーンをうまく挟み、ルドルフ・ヌレエフの人生観を観る。時代背景と ひとりのアーティスト、美しく、割と爽やかなドラマティックさ、クライマックスはハラハラさせ、あっというまの2時間15分、見事なレイフ・ファインズ監督作。ヌレエフの詳細をもっと知りたくなるもの。
1点、ルディはお世話になったレイフ・ ファインズ扮するプーシキンに対して あの出て行き方のまま? クララに対して一言も謝らない進行も少々違和感で、それはヌレエフの激しい性格を表しているわけで、おそらく ヌレエフ役ダンサーの彼を 実際のヌレエフよりも優しい印象に捉えてしまっている。
レイフ・ファインズは ロシア・東欧人役が初めてではないような気がする。
アラン・ドロンの再来だとか一時期に話題になったが ご無沙汰のラファエル・ペルソナ、いま一歩 強い印象を残せないが、魅力的ではある。
アデル・エグザルホプロス、重要な役なので、役不足。 若く見え過ぎ、笑わないクールな役柄は取って付けたよう。ついでに、彼女に初めて出会ったときのルドルフの一目惚れ的な反応も取って付け たよう。
セルゲイ・ポルーニンは この出方だともったいないが、俳優活動としてであれば。
取り上げられていないが、 プロデューサーに リーアム・ニーソンの名前も。