2019年03月09日

The Mule  「運び屋」

The Mule.jpg2018  Director: Clint Eastwood

危険な仕事によるサスペンス、事件もの寄りの話ではない。90歳のアールの生き方を見つめ直すハートフルヒューマンドラマだ。
だいたい、なかなか捕まらないもの。何度かヒヤヒヤするものの、なかなかうまくやる、アール。犯罪とは程遠く見える、携帯電話世代ともかけ離れた、庶民的な90歳の老人を 誰が犯罪に手を貸していると思うだろうか。どこからどう見ても老齢で、時に口が悪くも 気がよく、マイペースで チャーミング、そして背中が寂しい アールを演じるクリント・イーストウッドは見事。
差し押さえられた家だけでなく、家族の心を取り戻すことができるかもしれない、協会にも感謝される、アールは投資によって味を占めたわけだ。悪いことだとわかってやっているから、それは犯罪。しかし、彼に有罪を求める者はいないはずだ。
アールが自ら認めた罪とは。彼が最後に言った、時間を取り戻すことはできないということ。 自分の人生における罪を認めたのだ。胸に込み上げるものがある。
彼の好きな園芸をする 穏やかな表情のアールの姿が。そこは..。
ラベル:映画 M
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2019年03月02日

Au revoir là-haut  「天国でまた会おう」

Au revoir là-haut.jpg2017  Director: Albert Dupontel

ジャン=ピエール・ジュネ風のレトロなファンタジー~それより実写感あり~に、バズ・ラーマン風の華やかさ~それほど煩くなくシック~を加えたような美しいデザインの映画に心踊る。
が、戦争と権力と詐欺という暗い背景あり。そこに、サイレント映画のような動きの登場人物。どこか愛嬌のあるキャラクターたちの "目" が印象的で、人間関係はシンプル。
この映画の監督が、お人好しで不器用だが 大胆な行動にも出る、素朴なコミカルさのアルベールを好演。アルベールの心と努力はわかった。
青い大きな目、ナウエル・ペレーズ・ビスカヤートは、ストーリー上 鼻より下を隠し、しゃべることができないため、エネルギッシュな彼の魅力が観えにくい。父との確執、絶望、道化のように人生を転換させたかと観えたが、エドゥアールは 心にも仮面をつけたようだ。彼の最期は美しくもあるが、後半のエドゥアールについて不十分なため、唐突。しかし、和解と別れという皮肉が 儚く心に残る。エドゥアールのいくつもの仮面、その中に ナウエルの顔を白く塗って 仮面に見せたものを発見、おそらく。
オープニングは 話のきっかけがわかりやすく無駄がなく、エンディングは 無念な悲しい余韻を残しながらも希望を感じさせる。そんな なかなかよいものなのに、中盤バタバタと展開している中、肝心のアルベールとエドゥアールのやりとりが少なく、関係が希薄に思えるのが残念。
また、仲間として必要なようで、女の子ルイーズのポジションが若干曖昧。
低空飛行ようなカメラワークがおもしろい。音楽も素敵。
ラベル:映画 a s
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Green Book

Green Book.jpg2018  Director: Peter Farrelly

人種差別をテーマとした映画は、アカデミー賞でも毎年取り上げられる。その表現方法は様々で、この映画は、コミカルな要素を含み、重くなり過ぎず、観やすいもの。
用心棒の白人ドライバーと黒人ピアニストの ちぐはぐな組み合わせ。黒人差別が色濃いアメリカ南部、行く先々で社会の不条理に直面しながら、お互いを理解し、思いやりを持つようになるトニーとドン。ふたりの関係が、各々が 変わっていく。微笑ましく、ユーモラスなやりとりが和ませる。
自分もイタリア系のルーツを持ち、黒人差別意識を持つが、ドンとツアーの旅を続ける内に変わっていくトニー・リップ。どちらかというとクールなイメージのこれまでから、喧嘩っ早い粗野な役に、体型も恰幅よくした、ヴィゴ・モーテンセンの自然で人間味のある演技。
上流階級であっても黒人であることには変わりない、板挟みになりながら、プライドと気品を保ち、トニーに少しずつ心を開いていくドン・シャーリー。マハーシャラ・アリはいろんな人物になれるようだ。
少しの出演でも トニーの妻はよい加わり具合で、エンディングに彼女がドンにこっそり言ったこと、粋だ。
終盤、道で彼らの車を止めた警官の対応は、ちょっとした出来事のようで、心洗われるもの。全ての人間が偏見を持っているわけではないと 希望を感じさせる。そして、心温まるエンディングへと。
グリーンブックとは、黒人用の旅行ガイドブックのこと。
ドンのピアノ演奏の吹き替えが 本当に自然だ。
エンドクレジットより、オクタヴィア・スペンサーが製作に関わっている。
作品賞受賞に批判の声も挙がっているらしいけれども、人種差別は現代も残っているわけで、そのデリケートな内容の表現をどう捉えるか。アカデミー賞戦線を考えずに観ると尚よい、この映画。
ラベル:映画 G
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