2019年10月11日

Yesterday

Yesterday.jpg2019  Director: Danny Boyle

リチャード・カーティス~だけの力ではないかもしれないけれど~は やはり心得ている、時につくるべき映画を。
ありそうで なかった斬新な発想、そこをハートウォーミングドラマにする と。言うまでもなくテーマとなる音楽がよいので それだけでも感動する。地味にコミカルなやりとりの数々に笑えたり、狙い過ぎてそうでもなかったり、いや 全てにおいて嫌味なくユーモラスな微笑ましさ。現代的になったものの、悪者が出てこない、イギリス映画のラブコメ的な王道と緩さのバランスはやはり絶妙。
主人公ジャックを囲む友人たちは皆温かく、自由な両親も良い家族、暇だから任された付き人はちょっとだけ Notting Hill のリス・エヴァンスの役割で、ミニレコーディングスタジオを貸してくれた後にちょっと複雑な彼も優しく、エド・シーラン~これだけ出ていればカメオ出演ではない~も友好的に活躍、新マネージャーもビシネス重視ではっきり言うだけで悪人ではない、旧マネージャーのリリー・ジェイムズ演じるエリーとのことは言うまでもないストーリーにとっての重要事項~リチャード・カーティスだもの~。
前半のシークエンス、地元のパブや フェスといっても子どもの遊び場のようなミニテント、スーパーマーケットでの宣伝では どんなにビートルズの名曲でも状況はたいして変わらない、人のコネクションやきっかけの運をつかむことは重要で、うまく波に乗れば激変する、SNSの現代だからなおさら、それは身に染みる。
嫌な予感~ストレスでいっぱいのジャックが言った ‘外国で英語を話せる人に出会った気分’ というのには共感できる。拍子抜けのようで、悪影響を及ぼすことはこの映画には存在しない製作(?)の意義~や、決定的な何かが起こる予感~奇想天外な設定だもの、もし過去を変えることができたら、願いがこもっているのかなと思うと感慨深い~も そちらの方向へ。
主人公の周りで、いや 世界中で起こった不思議な出来事、でも、なぜ? そんなことはどうでもよいのだ。変化を機にジャックが気づいた、大金と名声を手に入れかけたところで、本当に自分が目指すところ、大切なこととは。それがこの映画のテーマなのだから。
ふざけたストーリーをつくっても、ビートルズをリスペクトしている製作を感じる。
主人公ジャック役は良い歌声だが、魅力的とは.. 新マネージャーからルックスが悪いとこれほどツッコまれては、観方も変わって、お人好しな愛すべきキャラクターだ。
しかし、消えた限られた言葉、その基準を、また 世界中にジャックだけではない?その辺りの真相をちょっと知りたくなる..。
ラベル:映画 Y
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2019年10月07日

Entebbe  「エンテベ空港の7日間」

Entebbe.jpg2018  Director: José Padilha

ダンスで表現していることに意味があるのかもしれないが、イスラエル部隊の1人のパートナーがダンサーだというだけに観える。意外なコンテンポラリーダンスのオープニングで、事件と場違いのようなダンスシーンを同時進行させたり、場所のキャプションの出方や スタイリッシュなつくりとテンポを感じられる前半なのだが。特に後半のダンスシーンは裏目に出て、緊迫のクライマックスも気が散るばかり。
最近の「ホテル・ムンバイ」の無名のテロ犯役と比べて、ダニエル・ブリュールとロザムンド・パイクでは 犯人に対する脅威の観え方が違い過ぎると初めは思ったが、この映画では無差別テロではないわけで、ハイジャック犯側の事件を起こす背景や精神状態を描くことがテーマとなっているから。~俳優の印象で言うと、エアフランスのドゥニ・メノーシェのほうが よっぽど人を殺しそうだ。「ジュリアン」の彼が怖過ぎた。~
また、イスラエル、パレスチナ、ドイツ人急進左翼と 複数の国際情勢が関わるので 政治的な動きの説明も必要になるわけで、一気に事件だけをというわけにはいかない。
しかし、事実の記録を表現したいのか、ドイツ人犯の心理を描写したいのか、どこをとって たたえるものがあるのか、実際に難しい問題でもあり、映画として いまいちポイントが強くは伝わりづらい。ダニエル・ブリュールらを主人公として観てしまうから。
表面的には毅然としている役柄のロザムンド・パイクの電話のシーンは 少し心を揺さぶられる。脚色だとしても、ナチではないのだと人間らしい面を観せるダニエル・ブリュールに安心した、彼の印象は非道な役柄が似合わないから。
ラベル:映画 E
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The Hummingbird Project  「ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち」

The Hummingbird Project.jpg2018  Director:Kim Nguyen

ストックトレーディングと理工学を組み合わせたビジネスの構造は 普通の頭では難しいが、劇中、アレクサンダー・スカルスガルド演じるアントンが簡単な例で説明。
さて、0.001秒短縮のプロジェクトが成功するかどうかということよりも、脚色だとしても、登場人物それぞれのキャラクターと人間関係に見所ありかと。ビジネスパートナーということ以上に、たったこれだけのやりとりの中で 2人の家族愛が観えるようになる。
ただ早口でいつも同じだと思っていたが、ジェシー・アイゼンバーグの身を焦がす演技、早口で..。
アレクサンダー・スカルスガルドは 特徴的な ‘頭’ だけではない、神経質でコミカルな動き、なかなか頼もしい。
チームのもう1人も活躍する上、人間的によい仲間だ。
物理学的な話題が 哲学に。切なくて、雪の中 少し心が温まって溶けるような。
ラベル:映画
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2019年10月04日

Joker

Joker.jpg2019  Director: Todd Phillips

確かに ホアキン・フェニックスにしかこの役はできないと思える彼の独り劇で、オスカー受賞は間違いなさそうだ。精神を病んでいる人に見えるのだが、ホアキン・フェニックスの演技がそう見えるのは初めてではない。
有名なアメコミ悪役キャラクターの誕生話であること、ブルース・ウェイン家族にも触れ、ジョーカーというキャラクターの前提があることが唯一の救いだと思える、エンターテイメント性皆無の 胸が苦しくなるような精神的に重いストーリー。
アーサーは不器用で、不安定なところがあるかもしれない、それでも悪人ではなかったはずで、些細なことや 心ない周囲の悪行に巻き込まれ、全てが悪い方向へと 彼を追い詰め、孤独で、闇の現実と幻想の世界に生き、唯一の味方であるはずだった母のこと、クラウンはジョーカーへと変貌していく。その背景で暴動が起こっているのも 心が荒れる。後半 赤いスーツに身を包んだ彼の姿は ジャック・ニコルソンのジョーカーに外見が似て見えた。非道なジョーカーはこうして形成されたわけだ。
The King of Comedy の要素があり、人気テレビ司会者役がロバート・デ・ニーロというのがおもしろい。
精神面では現実的に国は関係ない問題だが、状況としてアメリカは怖いところだと.. ゴッサムシティはアメリカとは限らないか..。
ラベル:映画 J
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2019年10月01日

De dirigent  「レディ・マエストロ」

De dirigent.jpg2018  Director: Maria Peters

女性アーティスト、ましてや女性の指揮者などとレッテルを貼られる1900年代初期に、自らの手で夢をつかみ、指揮者として成功したオランダ移民の女性、アントニア・ブリコ。想像以上にフェミニズムを謳っている内容で、ラストのキャプションにも皮肉な実態に対する訴えが表れている。ただ、彼女の出生の真相や、恋模様、協力者との出会い とドラマティックな要素も過度な表現ではなく含むので、観やすさも。
周囲から、世間から 非難されても、自分のやりたいことを貫くこと、ぶれてはならない、少し傲慢でさえあるほど強い精神で、情熱を持ち、何度も直面する困難にも諦めず前へ進む、感謝の気持ちは伝えること。
精神的にも行動ともに協力者となるロビンのこと、アントニアが気づいていなかったとは驚きだが、セクシュアリティーについてだけでなく、この時代にミュージシャンになるためという複雑な訳。彼の優しい眼差しが印象的だ。
裕福な家柄の青年、初めの印象はあまりよくなかったものの、意外と諦めずアントニアを追いかけ続け、想いのこもった一面も観せ、終わりよければよいが、生き方に対する考えの相違は明らかで、彼との結婚を選択しなかったアントニアは賢明だ。
主人公に痩せたドリュー・バリモアを控えめにしたような女優さんだが、凛とした強い視線で、貧しい境遇や移民であるルーツを持ち、上流階級への関わり、国を越え突き進みながらもアントニアらしく変化していく姿を。
ラベル:映画 d C
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