2019年10月11日

La vérité  「真実」

La vérité.jpg2019  Director: 是枝裕和

絡み合う嘘と真実..というサスペンス調を予感すると違う。真実というのは、ささやかで繊細なことだけれども、母娘にとっては確執を取り除く重要なもの。真実の鍵となりそうなサラ叔母さんについては、家族に関わる事実があるが、それは母娘の関係を紐解いていくきっかけとなるだけだ。
表面的に見えていることと 長い間心の底にあるもの、それぞれの性格やプライドにより抑えていたり、表現のし方により わかり合えないこと。
他人ではないからこそ 一言一言が気に障ったりするもの、でも放っておけなくて、素直に気持ちを伝えられないけれど わかってほしくて、そんな様子が伝わってくるジュリエット・ビノシュの演技は超一流、娘リュミール。
母ファビエンヌの プライドと強がりと自由さ、チャーミングな一面を 女優の役だけに本人と重ねてしまうカトリーヌ・ドヌーヴ。そんなファビエンヌにも ふとした時に心の動きが観える。
第三者の話から気づくこともある。そして、お互いに歩み寄り、打ち明け、わだかまりを解いて、母と娘の絆が。フワッと和ませて、不意に胸に響くような ウィットを利かせた優しいオチもある。
リュミールの娘シャルロット役の女の子のかわいいこと。ファビエンヌを取り巻く男性たちもそれぞれに温かく、長年仕えるリュックの穏やかな眼差しや。言葉の通じないイーサン・ホーク(の役)までいつのまにかファビエンヌに入れ込む様子も。
バックミュージックが聴き心地よく、庭の風景が美しい。 アコーディオンの音楽に合わせて家族がダンスするシーンは素敵。
大物女優たち、舞台もフランスとなると 日本人監督の映画だということを意識することもないが、白黒つけないところでの表現はもちろん、シーンの切り替えもフランス映画のようだ。折り紙の短いシーンや シャルロットがリュックにメダルをプレゼントするシーンは、日本らしさを取り入れたのかもしれない。
ひとつ屋根の下での会話劇で、登場人物の細かい表情を観逃さず、いかに会話への集中を持続させるか。そうすれば、いろんな発見があり、温かい感動が胸に残る 爽やかな作品だとわかる。
ラベル:映画 V
posted by JUNE at 18:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Yesterday

Yesterday.jpg2019  Director: Danny Boyle

リチャード・カーティス~だけの力ではないかもしれないけれど~は やはり心得ている、時につくるべき映画を。
ありそうで なかった斬新な発想、そこをハートウォーミングドラマにする と。言うまでもなくテーマとなる音楽がよいので それだけでも感動する。地味にコミカルなやりとりの数々に笑えたり、狙い過ぎてそうでもなかったり、いや 全てにおいて嫌味なくユーモラスな微笑ましさ。現代的になったものの、悪者が出てこない、イギリス映画のラブコメ的な王道と緩さのバランスはやはり絶妙。
主人公ジャックを囲む友人たちは皆温かく、自由な両親も良い家族、暇だから任された付き人はちょっとだけ Notting Hill のリス・エヴァンスの役割で、ミニレコーディングスタジオを貸してくれた後にちょっと複雑な彼も優しく、エド・シーラン~これだけ出ていればカメオ出演ではない~も友好的に活躍、新マネージャーもビシネス重視ではっきり言うだけで悪人ではない、旧マネージャーのリリー・ジェイムズ演じるエリーとのことは言うまでもないストーリーにとっての重要事項~リチャード・カーティスだもの~。
前半のシークエンス、地元のパブや フェスといっても子どもの遊び場のようなミニテント、スーパーマーケットでの宣伝では どんなにビートルズの名曲でも状況はたいして変わらない、人のコネクションやきっかけの運をつかむことは重要で、うまく波に乗れば激変する、SNSの現代だからなおさら、それは身に染みる。
嫌な予感~ストレスでいっぱいのジャックが言った ‘外国で英語を話せる人に出会った気分’ というのには共感できる。拍子抜けのようで、悪影響を及ぼすことはこの映画には存在しない製作(?)の意義~や、決定的な何かが起こる予感~奇想天外な設定だもの、もし過去を変えることができたら、願いがこもっているのかなと思うと感慨深い~も そちらの方向へ。
主人公の周りで、いや 世界中で起こった不思議な出来事、でも、なぜ? そんなことはどうでもよいのだ。変化を機にジャックが気づいた、大金と名声を手に入れかけたところで、本当に自分が目指すところ、大切なこととは。それがこの映画のテーマなのだから。
ふざけたストーリーをつくっても、ビートルズをリスペクトしている製作を感じる。
主人公ジャック役は良い歌声だが、魅力的とは.. 新マネージャーからルックスが悪いとこれほどツッコまれては、観方も変わって、お人好しな愛すべきキャラクターだ。
しかし、消えた限られた言葉、その基準を、また 世界中にジャックだけではない?その辺りの真相をちょっと知りたくなる..。
ラベル:映画 Y
posted by JUNE at 13:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする