2019年11月18日

The Irishman

The Irishman.jpg2019  Director: Martin Scorsese

マーティン・スコセッシフィルムに 豪華俳優陣が顔をそろえ、イタリアルーツのアメリカ裏社会がテーマといえば、最大の注目作であることは間違いない。
長編、3時間30分は気にならない。冒頭からロバート・デ・ニーロがカメラに向かってしゃべるスタイルであることは やはり Goodfellas のノリかと。ただ、それだけには終わらない。
恩師の間で板挟みになるロバート・デ・ニーロ=フランク、胸騒ぎがする。感情を表に出さないフランクにも苦悩が観えるが、ジョー・ペシ=ラッセルの言葉の真意を理解し、計画的にやってのける姿、アル・パチーノ=ジミーにとって誰より信用している人物だからこその 計画の円滑さ、それは衝撃的であり、寂しさを伴う。
原作のタイトル I heard you paint houses は ジミーが初めにフランクに言った言葉で、フランクの最盛はここに始まり、彼らのその後を考えると 皮肉に奥深い。冒頭、ラッセルが身につけるものから意味がある。また、老いたラッセルが刑務所で言ったこと、晩年のフランクの忠誠心を持ち続けながらも 懺悔する行動や、次女ペギーとのこと..。
さて、決まって 結婚式と祝いの式典があるものだ。そして、ギャングスターの話というのは、観る限り、何事も暴力でねじ伏せ、家族を守るためとは言うが、ドンのひと振りで邪魔者は消して その跡も消し、抗争、裏切り、報復。そういうことも含め、この話は FBI捜査網や、大統領選にも関係する権力が渦巻いているのは把握できるが、殺しや撃ち合いのシーン自体は少ない。その中で 人間模様や恐ろしさ、哀しさ、応報を表現する重みがあるわけだから、どの映画とは言わないが 視覚的に殺せばいいわけではないのだ..。
ジョー・ペシは喧嘩っ早くない.. 落ち着いて観える重鎮ラッセル。感情的で血の気が多いキャラクターはジミー、アル・パチーノだ。ハーヴェイ・カイテルが見た目に凄みがあるのだが、出番少なし。劇中 重要人物であるトニー・プロ役は、有名俳優に囲まれているため 役柄の大物感が伝わりづらい。
俳優を若返らせたデジタル処理は、きっと、例えばロバート・デ・ニーロの10年前はこの映像と同じではないだろうなと、気にして見ると少し不自然ではある、それでも、時代によって別の俳優が演じるよりストーリーに集中できるし、もちろん映像技術は素晴らしい。現在の設定で老齢のロバート・デ・ニーロが語る流れで 数世代のシーンが展開するため、実際の撮影時の彼らはどれだ?ジミーの出所以降 フランクが刑務所に入るまでのシーンが 実際の彼らかな(?)
多くの人物が関わる組織の動きの背景や、裏社会に入るまでのラッセルの生い立ち、“アイリッシュマン” ということをもっと意識するには 原作を読むこと。長編とはいえ、原作を映画の尺にまとめるには秀逸なつくりだ。さらに丁寧に追ったものを観たくなる、全二部作くらいで。
ラベル:映画 i
posted by JUNE at 12:30| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする