2020年01月18日

The Aeronauts  「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」

The Aeronauts.jpg2019  Director: Tom Harper

ここ10年でダニー・ボイル 127 Hours に続いて2位くらいだろうか、その場にいるかのようなハラハラする感覚は。サバイバル映画ではなく、町の観客に向けたパフォーマンスで気球のショーがスタートするように、雲行きの怪しい空ではあるけれども 美しい気球と、The Theory of Everything のフェリシティ・ジョーンズとエディ・レットメインのペア。(ヴァンサン・ペレーズの出方は記憶の中の短いシーンだけで、正面から顔がはっきり映ることもない。)
澄んだ空気を感じる、空から見る景色はきれいだ..を通り越す。上がっていく高度の臨場感と、低酸素、凍てつく寒さ、観るほうも息苦しく頭痛の感覚。さらに人間業ではないような危険で勇敢な行動、命を懸けた飛行となる、最後の最後まで。
なぜ彼らはそこまでするのか。この飛行に至るきっかけ、これまでの2人それぞれの出来事と出会いのシーンを断片的に飛行中に挟む
狭いカゴの中に2人だけ、しかし覆いが無いに等しい周囲は天空、無音、天災、神秘的な現象を観る、そこに登場人物の記憶と、ところどころ詩的なセリフ、1860年代のイギリスの話、それでも観やすいドラマ仕立てであり、また少し珍しい作品。
ラベル:映画 a
posted by JUNE at 21:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Richard Jewell

Richard Jewell.jpg2019  Director: Clint Eastwood

事実を扱い、淡々と描きつつもドラマティックに引き込む巧みなつくり、映画として取り上げるべき題材だと思える、クリント・イーストウッドフィルム。にしては中盤のテンポがわるく少々間延びして感じる..。
ジャーナリズムにより、ヒーローから容疑者への転落。主人公リチャード本人は割と平然としているように観えるため、マイペースで 正義感のある真面目な人物なのか、思い込みや過度な精神の裏の顔があるのか 曖昧にも観える。しかし、彼が後半FBIに言ったこと、何か1つでも証拠があるのか、この間に犯人を野放しにしてよいのか、自分の例を二の舞に人が正しい行動をとれなくなると それらは納得の言葉だ。
アクが強いが味のある 何にでもなれるサム・ロックウェルは弁護士、リチャードの母にベテランの名演が光るキャシー・ベイツ。
人の興味を引くためなら人間性を欠くオリヴィア・ワイルド演じる記者が リチャードの母の演説に簡単に涙するのは、演出不足で、彼女の人物像がわからない。ジョン・ハムも目立つFBI役にしては演出不足なのか、情報不足なのか。
メディアの影響により拡散する悪質な社会の風潮を示唆するテーマはわかり、主演3人の演技はよいが、クリント・イーストウッドフィルムに期待するなら、主人公と彼を取り巻く人物の重みについてはいまひとつ、また隅々は少々手抜きに感じる今作。
ラベル:映画 R
posted by JUNE at 17:30| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Jojo Rabbit

Jojo Rabbit.jpg2019  Director: Taika Waititi

第二次大戦下のドイツが背景とはいえ、ポップさと、少年が主人公で ユニフォーム姿の子どもたちといえば、ウェス・アンダーソンの Moonrise Kingdom と重ねた。軍服とボーイスカウトの制服、サム・ロックウェルとエドワード・ノートン..(?)
10歳の主人公ジョジョはかわいいものだが時代に洗脳されたナチ志望で、空想の友は監督が演じるコミカルなアドルフ・ヒトラー、母は隠れ反戦活動家、ユダヤ人の女の子との交流と 時事を皮肉る内容で、少年目線のファンタジーかと。ただ、この時代の波は 微笑ましくコミカルな心穏やかさを続かせはしない。
ジョジョの自然な子どもらしさと 臆病で優しい瞳が愛らしい。明るく強く美しい母のスカーレット・ヨハンソン。極悪人役もできるサム・ロックウェルは ナチス陣営の団体の教官役でありながら 意外と人間的な一面を観せる男。ジョジョの親友の少年ヨーキーも微笑ましい絶妙キャラクター。
ジョジョの目を通して見た社会と 心の変化、成長の物語であり、直接的な残酷描写は全くないが 悲惨な状況を認識できる反戦メッセージをこめたナチスドイツテーマを ユーモアで表現。トロント映画祭 観客賞の話題から期待度が高かったための 想像する晴れやかな感動ではなく、やはり背景にある事の重みが少々後を引く。
オープニングはビートルズ、エンディングはデヴィッド・ボーイ、それぞれドイツ語バージョン。
ラベル:映画 J
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2020年01月11日

Motherless Brooklyn

Motherless Brooklyn.jpg2019  Director: Edward Norton

エドワード・ノートンが得意な役だ。ブルース・ウィルスが出てくると二流映画の印象に不安になるが、この展開ならよいかと、しかし主人公らとの関係は取って付けたような設定に思える..。
序盤の探偵事務所の軽い説明と動きには期待を持てたが、失速。急激にテンポがわるくなり、テーマが頭に入らなくなる。ウィレム・デフォーやアレック・ボールドウィンと役者も揃えているが。魅力的な意欲作ではある..。
粋なジャズと 悲痛なトム・ヨークミュージック。エドワード・ノートン脚本、監督作。
ラベル:映画 M
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Ford v Ferrari

Ford v Ferrari.jpg2019  Director: James Mangold

フォード社の対フェラーリ社、そのビジネスと それにつながる製造、重要なレーシングドライバーと 関わる人物のストーリー。ビジネスの筋を背景に、2人の人物像、交流をメインに描くもので、切り取る事実や心情、展開がシンプルに伝わり、痛快なやりとりあり、それほど大袈裟ではなくドラマティックであり、ささやかに皮肉な感動もあり、まとまりのよい秀作。
マイルズがル・マンレースでフォード社の意向に従ったのは、シェルビーとの友情によるものだ。しかし、会社側は彼らを利用しただけで、普通映画では優勝し栄光とともに幕を閉じるだろうに、登場人物の一部とオーディエンスは 2人の関係を通じた無念さを感じとる。それでも2人の信頼関係は深まったはずで、家族も理解しているはずで、順調なはずのその先..。
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルの組み合わせがマッチするかは不明であって、役柄も性質の違う2人で、しかし 言葉少ないながらもシェルビーとマイルズの友情を観るのは、さすが二大俳優、観応えある。
珍しくイギリス人役のクリスチャン・ベイルは The Fighter の時くらいの頬のこけ方だが、たまたま痩せていたわけではなさそうだ、エンディングのマイルズ本人の横顔写真と似ている。短気で自己流に生きるマイルズだが、的確な判断と情熱、才能のある男。Suburbicon ではマット・デイモンの息子役だった少年が今作ではクリスチャン・ベイルの息子役で、マイルズについては家族との温かいやりとりも描かれる。
いつも寡黙な印象のマット・デイモンも 元レーサーのシェルビー、公道で車をぶっ飛ばしてみたり、車会社の男風演出もあるが、マイルズに対する誠意を観せ、つらさを噛み締める姿には胸を打たれる。
ル・マンが24時間レースなだけに レースシーンも長く観せるが、スピード感、その臨場感ある映像。
ストーリーが展開するほどに、ビジネスの行方やレースの勝敗を観ながら、それよりも大切なテーマが心に響く。
ラベル:映画 f
posted by JUNE at 13:30| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする