2020年02月29日

Les misérables  「レ・ミゼラブル」

Les misérables.jpg2019  Director: Ladj Ly

冒頭、美しきパリを象徴するエッフェル塔や凱旋門をバックに 歓喜に沸く民衆、少々騒動くらいに。
まもなく、郊外のモンフェルメイユ、華やかなパリと対照的な、裏の姿が舞台となる。貧困と 人種の偏り、各コミュニティーがあり、対立の空気間。権力を振るう警察に対する反感も含め、何とか抑制されているものが、今回の事件をきっかけに火が付くと、怒りと憎しみが集団の力で暴動となる
日中担当警察は なぜ子どもを追ってばかりいるのかという気になるが、子どもの犯罪も日常的に蔓延るわけだ。警察の荒手な権力の行使は不快なものだが、その警察たちにも それぞれ家族がいて生活があり、地位を気にし、恐怖心も持つ一面を観せる。新入りの警察官ステファンは戸惑い、少しでも正そうとするが、完全に巻き込まれる。
警察がまず追った少年イッサの 子どもなのに哀れな姿、そして憎しみの表情への変化。子どもたちの無邪気に遊ぶシーンが 対照的に、集団の武力と化す。現代的な要素のドローンで起こったことを上から全て見ている少年バズ、たまたま居合わせた傍観者の立場から、騒動をエスカレートさせることに。
リアリティーのある撮り方で、日常的な実情を映し出すところから、事態は悪い方向へ転じ、衝撃が走り、考えさせる 終わることのないラストシーン。
今 表現として話題となる格差社会と、微妙な様相で人間臭さを観る。この地区出身のラジ・リ監督、事実に基づく内容だという。内側から社会問題を取り上げ、ドキュメンタリーではなく、リアルに 心に訴えかける表現、異色の素晴らしい作品。カンヌ、パルムドール受賞はこの映画でよかったのでは。
ラベル:映画 M
posted by JUNE at 18:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Just Mercy  「黒い司法 0%からの奇跡」

Just Mercy.jpg2019  Director: Destin Daniel Cretton

ドラマティックにつくってあるものの、この話が現実だということ、高い冤罪率の事態はこの件に留まらないということ、死刑囚を助ける団体をつくった人がいるということ、世間に伝えるべき内容の映画だといえる。根深い人種差別の社会問題。
自身も黒人として偏見に耐えながら、献身的に、諦めず立ち向かう若い弁護士と、正義。無実の罪の死刑囚と その家族。
エンディングの実際の映像には 感動と重みがある。
ラベル:映画 J
posted by JUNE at 15:00| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月22日

Midsommar

Midsommar.jpg2019  Director: Ari Aster

カルトでオカルト、意味不明でも 想像どおり。現実離れした内容のようで、どこかには実際に存在するだろう、似たような集団が。気分はよくない、後味が悪い、それも想像どおり、カルト映画だから。
ラベル:映画 M
posted by JUNE at 19:30| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Bombshell  「スキャンダル」

Bombshell.jpg2019  Director: Jay Roach

実話に基づくとはいえ伝記映画ではないので 特殊メイクする必要はない気がしたが、有名女優をまた違うキャラクターとして観やすいかもしれない。シャーリーズ・セロンもニコール・キッドマンも 普段と目元が違えば どこか別人のようにも見える。
ベテランキャスターの告発を機に 女性たちが立ち上がる、テレビ局内のスキャンダルの話だが、米映画界でも似たような話題があったばかりだ。最近の話題を赤裸々に、セクハラとパワハラの実情の暴露と、トランプ大統領の話題を批判的な形で差し込む、勇気あるアメリカ映画。
Long Shot はくだらないコメディーに思えたが、どちらの映画でも ファッション、ヘアスタイル、口調、かっこよくキメるシャーリーズ・セロン。ニコール・キッドマンも どんな役でも安定感あり。
扱うテーマは真面目な社会的問題、それを華やかな印象の大手テレビ局が舞台なだけに、名女優の共演、テンポよく、歯切れよく、事実に切り込み、痛快にと 観やすいつくりに。
ラベル:映画 b
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A Hidden Life  「名もなき生涯」

A Hidden Life.jpg2019  Director: Terrence Malick

ラストに、ジョージ・エリオットという作家の言葉の引用で、この映画のタイトルが出る。“今 それほど悪いことがおきないのは 名もなき人の生涯が支えている”
宇宙を超越したようなテレンス・マリックの世界。今作はまずロケ地の美しさに目を奪われる。あいかわらずセリフは極めて少なく、出だしは語りも少なめだが、まもなく夫婦が離れてしまうと、心の声と手紙の声が語られ続ける。自然の音とクラシック音楽。
澄んだ空気を感じる大自然の村で 家族の美しく幸せな時、それと対照的な孤独で冷たいベルリンの牢獄。ヒトラーへの忠誠の宣誓を拒否しただけで無実の罪で捕らえられたフランツと、周囲の目は冷たく村で孤立したファニ、長く苦しい時は果てしなく、事態は上を向かず、胸の苦しさが続く。自分の意志を貫き通すフランツと、そんなフランツのことを理解しているファニ。山の中でまた会いましょうと。どんなにつらくても2人の間には通じているものがあり、大自然の中に溶けていく。
ダニエル・ブリュールが目立つようになった頃から 実は重要な脇役等でドイツ映画に限らず出演しているアウグスト・ディールと、「エゴン・シーレ」で独特な魅力を観せたヴァレリー・パフナー、主演2人が映画の雰囲気にマッチしてとても良く、脇役でフランツ・ロゴフスキがまたよい出方をする。ドイツ語圏の人たちなのだからドイツ語の映画にすればよいと思うのだけど、それだと詩的なテレンス・マリックの世界にフィットしないのだろうか?主演はほぼ英語、周囲の声は英語と字幕のないドイツ語を混ぜてある。
事実を基にしてある 現実的な内容であるにも関わらず、テレンス・マリックの手にかかると、今作は苦しい時間が長過ぎるものの、やはり神々しく美しい。テレンス・マリックフィルムの中で The Thin Red LineThe Tree of Life に並ぶ優れた作品かと。
ラベル:映画
posted by JUNE at 12:30| Comment(0) | 映画コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする