
現実と幻想の区別が曖昧で 魅惑的に洗練されたフランソワ・ オゾン色を最も消し、珍しく実話に基づく。 オゾン風でないといっても 淡々と事実を並べるのではなく、ストーリーに引き込む。非道で衝撃的な事実を端的に伝え、被害者たちの心と行動にスポットが当たる。
主人公はメルヴィル・プポーだが、主体となる人物が~ さらに大きくなったように見える~ドゥニ・メノーシェ、 そしてもう1人の人物(スワン・アルロー)へと移っていく、 ストーリーのつながりの中で。
アレクサンドルは端を発し告発したが、 家族の立場も考え冷静、 フランソワは積極的に明るみに出すべくメディアに公表しようと動き、 エマニュエルは問題を抱えながらも告 訴に踏み出そうとする。各々の違いが観えてくるが、 向いている方向は同じだ。 各家族関係にも大きく関わってくる。 家族の支えと協力がなければやり遂げられることではなく、 行動を起こすことによって家族との関係に確執が生じる場合もある。 それくらい精神的、身体的、社会的な大ごとである。